【ブラウジング:140】渡邉茂「比較認知科学:忍び寄る擬人主義」、『UP』,v.555 (2019)

認知科学の方法論を、とくに擬人主義を、さまざまな視点から論じた論文。語り口は絶妙。

 ただし全体としてなにを主張したいのかについては、話が跳びすぎて、読者がレイパーソンである場合には、いまひとつ困惑。

【読書80年:554】読売日本交響楽団『オーケストラ解体新書』中央公論新社(2017)

 

トリビアルではあるが、聴衆にとっては気になるあれこれを紹介。例えば、プログラムの編成法、チケットの販売法、楽器の運搬、楽譜のバージョンの確認、パート譜の入手法、出演者の急病対策、リハーサルの内幕、楽器の位置決め、楽譜のめくり方、楽譜への書き込み、など。

【読書80年:553】渡辺正峰『脳の知識 機械の意識:脳神経科学の挑戦』中央公論社(2017)

サーモスタットは意識をもつ。なぜならサーモスタットは環境の温度に反応して屈曲するから」と著者は説く。そして続ける。「この質問は機械が意識をもつかという課題にかかわり、さらに反射的に、人間の意識とはなにか、という論点につながる」と。難解だが面白い本。

【ブラウジング:139】K「「編集」の変化の中で考えること」

編集者の目でみると、デジタル編集の問題点は、編集ソフトの影響などで「文字遣いが飼いならされていく」ことだという。文筆家の末席にいる私にとっては、合点のいく意見。

『UP』 n.554, p.57 (2018) 編集後記より

【ブラウジング:138】福島智「情報は文脈と受け手の判断がいのち」

著者はいう。「上質な情報を得るには、文脈の適切な理解とともに、自身の正確な情報ストックの絶えざる更新が不可欠」と。著者は視覚と聴覚を失った人。その強靭な意思に私は脱帽する。

『情報処理』,n.643, p.870-871 (2018)

【ブラウジング:137】文化庁著作権課「著作権法の一部を改正する法律(平成30年改正)について」

現行著作権法が崩壊寸前にある、という担当官庁の悲鳴が聞こえる。理由の1:法規範の制定時期が事前から事後に移行しつつある。その2:法規範の制定機能が立法から司法へ移行しつつある。その3:関連規定の柔軟性が求められ、既存の隣接法規との一貫性が保持しにくくなっている。

この悲鳴をどのように受け止めたらよいのか。

『コピライト』, n.692, p.22-60 (2018)

【ブラウジング:136】須藤靖「レンズ越しの世界」

眼疾により視覚を損傷した物理学者が語る外界と自分との整合性に当惑する話。また、その治療の恐ろしさの話。著者は「クオリア」という言葉こそ使っていないが実証的なクオリア論とも読める。この種のクオリア論を多くの物理学者は避けて通るのだが。

 

『UP』 n.454, p.18-25 (2018)