【4冊目】 黒岩比佐子 『パンとペン: 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』 講談社 (2010年)

かつて堺利彦の『文章速達法』を読んでびっくりしたことがある。その「著者が考えをまとめる方法」というくだりが川喜田二郎氏の発想法――あのKJ法――を先取りしていたためである。このときから、堺利彦は私にとって気懸かりな先人となった。
 『パンとペン』は、この『文章速達法』が書かれた由来にくわえて革命家堺の抵抗の姿勢を、ここ細か事細かに紹介している。私は、論文の構成法のみならず革命の戦略についても、堺がすぐれた先見性と柔軟性とをもっていた、と知ることができた。

『みすず』 1/2月号 (2011年) アンケート