【210冊目】 南条優 『コンピュータがわかる事典』 日本実業出版社 (1983年)

【2012年の注】 30年前のコンピュータ百科。回顧趣味をもつかたはどうぞ。

 今日、幅広く、かつ急激に進む技術革新のなかで、情報システムに携わる人は、やたらに、新しいジャーゴンに翻弄されているはずだ。そんな世界に住んでいる人間にとって欲しいものは、手軽な用語集だ。私自身その1人だが、何かないかと思っていたら、たまたまこの本を見つけた。新刊案内というには、いささか「十日の菊」の気味なきにしもあらずだが、おそまきながら紹介したい。
 この本はまさに、書名どおりの内容を持っている本だ。しかも、「読みこなし・使いこなし・自由自在」というサブタイトルが、ずばりこの本の形式を紹介している。つまり、この本は、タイトルとサブタイトルだけで、中身と姿がそのまま理解できるように工夫されている。書名を見ただけでは、どんな本なのか見当もつかないことが多いのが慣いとなった時代に、この明せきなタイトルの付け方がこの本の特徴をそのまま語っている。
 第1に、何でも書いてある。コンピュータに関することなら、歴史も、技術も、利用法も、組織論も、心得も。
 第2に、書き方が平明であり、しかも、簡潔である。1項目1ベージ。
 第3に、全体の構成が、階層化していて、項目を引きやすい。
 第4に、説明や論旨に偏りがない。
 ということで、初心者から管理者にいたるまでに役立つ「虎の巻」として、出色の本といえよう。

『コンピュータ・レポート』 24巻4号 (1984年)