【285冊目】 中谷宇吉郎 『霜柱と凍上』 生活社  (1945年)

敗戦の直前に、中谷宇吉郎の『霜柱と凍上』という本が出版された(注)。たしか全紙版の新聞紙を八つに折り、裁断せず、そのまま32ページに仕立てた本(?)であった。この本は少年にも分かる文体と内容で、霜柱の成長メカニズムを説明したものであった。中谷は、この実験は女学生の協力でなされた、また、この実験は戦争遂行上に役立った、と記していた。少年だった私はこの実験に参加できた女学生を羨んだ。自分も一流の科学者の指導を受けてみたい。また、お国に役立つ仕事をしてみたい、と。
(注)のちに『霧退治』(岩波書店、1948年)に収録。『霜柱と凍上』については、東晃『中谷宇吉郎:雪と氷の科学者』(北海道大学図書刊行会、1997年)が表紙の写真を引用しつつ説明している。

拙著『科学書乱読術』(朝日新聞社、1998年)より